暦は小暑。
もうすでに日は短くなり始めておるようですが、暑さはこれからが本番。
七二候では、「蓮始開(はすはじめてひらく)」とのこと。
当工房近くの蓮池では、最近では珍しいコウホネも咲き出しました。
工房裏の畑では、かぼちゃの花もずいぶん咲いております。
畦に生える大葉にはこんなお客さんも。
さて、本展の作品の搬入も再来週に迫りいよいよ佳境を迎えております当工房ですが、
12日夜、看板ネコの「むく」が逃走いたしました。
普段はハーネスを着けてのみ外に出しておりましたが、何も着けずに一人で外に出るのは
初めてのことです。
気がついたのは、おそらくすでに逃走してから2時間くらい過ぎていたでしょうか。
姿を見かけないなぁと思っていて、風呂にでも入るついでに様子を見ようと思ったら
普段開けない2階の網戸が開いているのに気がつきました。
その瞬間、サーっと血の気が失せました。
ちょうどむくが通れるような間隔で開いております。
でもまさか、そんなところから出て行くまいと思い、普段よくいる場所から屋根裏部屋まで
探しましたが見当たりません。
どうやらそこが逃走経路のようでした。
それからすぐに餌入れと懐中電灯を持って、普段散歩で行きたがるところを隈なく
探しに出かけましたが、首輪に付けた鈴の音も鳴き声も聞こえません。
ましてや慣れない外なので、どこかの物陰に隠れていたでしょうし、
この暗闇では姿は見えません。
去勢済みでマーキングもせず、普段ハーネス付きでしか外に出たことないので、
迷子になっているのではないかと心配で心配でなんども同じところを探しましたが、
見つけられそうになかったので、外が明るくなってきたらまた探そうと
その晩の捜索は断念しました。
でも、もしかしたら帰ってくるかもしれない。
その時に気がつかないといけないと思い、普段散歩している工房裏が眺められる
リビングで明け方まで待つ覚悟を決めました。
その間もどういう公共機関に特徴を知らせておくべきかとか、近所に皆さんにも
事情を話して情報をもらおうかとか色々考えておりました。
そうしたら深夜3時くらいでしたでしょうか。
窓の外で鈴の音が聞こえたような気がしました。
急いで外を見てみると、そこにむくの姿が。
きっと慣れない冒険で緊張しているでしょうから、こちらが慌てて動くと
逃げてしまうかもしれません。
餌入れを振って音を出しながら、優しく声をかけながらゆっくり網戸を開けました。
しばらく怯えたように警戒しておりましたが、やがてゆっくりと入って来てくれました。
一気に安堵の気持ちと、むくに対する信頼が込み上げてまいりました。
そしてむくはと言いますと、顔中に蜘蛛の巣や小さいダンゴムシや埃を
いっぱい付けてきたものの、怪我もなくよほどお腹を空かしていたのか
餌を食べては水を飲み、餌を食べては水を飲みをしばらく繰り返し、
トイレで用を足し、その後よほど緊張していたのかしばらくは落ち着かない様子で
外の物音にビクついておりましたが、やがてぐったり。
しばらくすると眠ってしまいました。
よほど疲れていたのか昨日も1日中眠っておりました。
今日はようやく疲れも取れたようで元気に遊んでおります。
でも外にはちょっと懲りているようです。
いったいどんな大冒険をしてきたのやら。
それにしても帰ってきてくれて良かった。